(長編)廃屋の残響

廃屋の残響(12)

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自分でも知らないうちに「大人」になってしまっていた。

大人っていつから?

成式迎えたら大人? 
責任取れるようになったら?
分別がつくようになったら?

肉体的、社会的、感情的指標。

そんなものを学び、受け入れ、徐々に別のものを失ってきた。
それが大人になるということなのかしら。




耳鳴りはまだ少し残っていたが、前ほどではない。

やっぱり疲れが溜まっていたのかな……


付き添われながら一歩一歩戻る道は、ライトで照らし出されたことで、思っていたよりゴミが落ちていることが露わになった。

葉っぱや枝に混ざってペットボトルにお菓子の袋、漫画雑誌など

こんなにゴミが落ちてるなんて……

それに、これって


「ちょっと貸してください!」


運転手さんが持っている懐中電灯を半ば奪うように取り上げ、周囲を撫でるように照らしてみた。

すると、木の葉や山草に覆われた地面に一筋だけ不自然に土肌が見えて獣道のようになっている箇所がある。


「見てください! ここ! ここの一本道だけ土が見えてます。誰かが通っている証拠です!」


運転手は顎を触りながら はぁ… と言った。

「それに落ちてるゴミも。人間が捨てていったものですよ。お菓子やジュースって子どもじゃないですか? ここを辿っていけばたどり着くかもしれない」

「いや、しかし……」


まだ何か言いたそうな相手を無視し、獣道を進んだ。

運転手は戻りましょうと言いながらも、唯一の目である懐中電灯を人質に取られてしまい、ついてくるしか他ないようだ。
何度も足を取られ、もたもたと不器用な熊のように追いかけてくる姿を無視して早足で歩いた。


「シッ!」

耳に何かが飛び込んできた。

手を横に伸ばして立ち止まり、二人で耳を澄ました。

サラサラサラサラと水が流れる音がする。


音の源を探してみると、斜面の岩から湧き水が線のような小さな川を作っているのを見つけた。

これ、見覚えある。


ーー冷たい! あ、ほら見て!

ハルナがこの水を手ですくって飲んでいた。
すると岩の間に沢蟹がいるのを見つけて、私に教えてくれたんだ。



やっぱりこの道で合ってる!

段々と自信が出てきた。
印の付いた木ももうすぐあるはず……。

近くにある木をくまなく探した。
そして、記憶に合致する丸印がついた杉の木が一本。

そうよ! この木よ!

そこから右に曲がり、走った。

景色が
呼吸が
自分が
過去と交錯しはじめる。


待ってて。今行くから!


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~ Comment ~

あらら

運転手さんを巻き込んじゃいましたか。懐中電灯の人質、となれば仕方がないかもしれませんが、運転手さんもこんな客、やだろな~。でも、ずいぶんと金離れのいい客だと喜んでいたのかも。
女の子ひとりとおっちゃん、という組み合わせは、ふつう逆に怖いけれど、今回は運転手さんの方がえらい災難に巻き込まれているように見えますね^^;
そして、ついに見つけたんですね。何が待っているんだろう……今回はホラーよりも、こっちまで、「早く見たい!」気分にさせられちゃいました。
続きも楽しみにしています。

大海彩洋様

さっそくコメントありがとうございますヽ(=´▽`=)ノ
運転手さんも巻き込んじゃいました(^_^;)運転手さんからしたらいい迷惑ですよね……。
夜に女の子とおっちゃん二人だけって危ないですよね…。おっちゃんの理性が頼みの綱です…。

おお、早く見たいって気分になってもらえましたか!嬉しいです(≧▽≦)
お蔵入りになってた話なのでいつも以上に支離滅裂ですが(UPしてるのも酷いですが(^_^;)
続き楽しみにしていてくださいませm(__)m

NoTitle

(。・ω・)ノ゙ コンバンゎ♪
前回は無さそうな雰囲気だったのが一転、今回は有りそうな感じですね。
アレコレと予想しながら楽しませてもらってます♪
しかしながら、運転手さん災難ですね。笑
「一旦帰って、明るくなったらまた探しなよ!!」と心の中で何度も叫びました。笑
13話目も楽しみにしてま~す(∩゚∀゚)∩

夢月亭清修様

こんばんは~

実は下書きでは一旦実家に帰る設定だったんですよ。
でも短編で終わらせるつもりだったのがのびてしまってることもあって、ここで実家帰ってたらまた話が長くなると思い、突き進むように設定変更しました(^_^;)

ぜひぜひ楽しみながら読んで下さいませヽ(=´▽`=)ノ
といってもそんな上手いお話書けないんで先も丸分かりみたいなものですが(^_^;)
続きもがんばってUPしますヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。


NoTitle

運転手さんはともかく、懐中電灯が手に入って本当に良かった^^
この運転手さんがこのあと、何か大きな役割をしてくれそうには思わないけど、ちょっとは心強いかな?

さあ、本題のあの屋敷に、どんどん近づいて行ってるみたいですね。
そこに何があるのか・・・。
やっぱり、怖いものなのかな><

lime様

コメントありがとうございますヽ(=´▽`=)ノ
ここ数話ずっと山の中ですね(^_^;)変わり映え映えしない状況でコメントも書きづらいのに…なんかすいませんm(__)m

今回は懐中電灯をゲットしました!テッテレ~♪

下書きでは一旦実家に帰ることになってたので、運転手さんもそこでさようならになる予定だったんです。
でも予定より話が伸びてしまってるんで実家に帰る部分を省いたため、運転手さんも道連れになってしまいました。
なので、運転手さんはこの後見せ所はまったく用意されてません!(運転手:え?)
なにか用意できたらいいんですが……思いついたらちょっと追加するかもです(本当か?

残りもうちょいです! またよろしくお願いしますm(__)m
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