(長編)廃屋の残響

廃屋の残響(9)

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タクシーのヘッドライトを背に道なりに進んだ。

一歩先も危うい視界だったが、夜目にも慣れはじめ、目印の岩を発見できた。

両端が膨れ上がり台形の形をしているため、子どもたちから蛙石と呼ばれていた岩。
当時はかなり大きいものだと思っていたが、今見ると膝丈ほどしかなかった。


子どもの頃だったから、小さい自分と比べて大きく見えたのね。


そこから山の中に踏みこむ。

小さな溝を挟んで坂道になっていて、前かがみになりながら分け入ると、一歩踏みこんだだけで境界線でも引かれていたかのようにそこは一段と暗くなり、空気もひんやりとしていた。

高い木に囲まれて、私のようなものが立ち入ってはいけないような威圧感がある。

私は気配を消すかのように黙々と足を進めた。



どこまでも同じような大木がそびえ立ち、まっすぐ進んでいるのか曲がっているのか、どこまで来たのかすら分からない。

ゴツゴツした木肌に手を付きながら、木の葉や枝などでクッションのようになった地面に足を取られないよう自分を支えた。


迷子になりそうだわ……。

でもそんな難しい道ではなかったはず。
確か蛙石から山に入って……ちょっと行った辺の杉の木に誰かが矢印を彫って目印をつけていた!

その矢印の方向に折れればよかったはずだ。

杉の木を目指して少しずつ前に進みながら当時のことを思い出そうとしてみた。


私はあのお屋敷に行っている。

母の話から考えても、一緒に行っているのはハルナだ。


そうなると、電話口でお屋敷のことを聞いた時、ハルナがあいまいな返答をしたことが引っかかる。


忘れているならそう言うはずだ。どうしてはぐらかすようなことをしたの?


何かが引っかかる。
記憶の欠片が上手く繋がらない。



山道をヒールで歩くにはあまりにも道が悪いので脱ぎ捨てて裸足になった。

素足で道を歩くのは何年ぶりか。

小学校の時、裸足で走った方がタイムがよくなるといって体育の時は裸足になっていたっけ。
地面はしっとりと濡れていて冷たかった。グランドとは違い整備されていない山道は、石や枝、草や木の実が足に突き刺さり、痛い。

時折、驚かすかのように鳥がけたたましく鳴き、風で木々がざわめいた。

それらの音は木々に反響し、責め立てるかのように私に襲いかかってくる。


怖いわ。早く見つけないと。


でもどこまで行っても同じような景色で印のついた木は見つからない。



そろそろ見つかってもいい距離まで進んでるはずなのに。
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~ Comment ~

あ、間違ってしまった

あ! 何をボケてたのか拍手コメントの方に書きこんだので、こっちに移しました。><

なんとも不気味な山の奥。絶対一人では入りたくないし、不安定な精神状態で入ったら、何かヤバそう・・・。いくら歩いても見つからないって…本当にそのお屋敷は存在したのでしょうか。たしかに、子供の頃の記憶って、思い違いをしてる事もよくありますが。靴は履いた方がいいよ・・。ってか、もう帰ろうよ、って、横に居たら絶対言いますね><

lime様

拍手コメントとこちらもありがとうございます(笑)
拍手コメント、見方がわからないというか…よく気づかずにいることが多いんでコメント欄に書いてもらって助かりました(>_<)

山って夜入るもんじゃないですよね……。子供の時入ったことあるんですけどめちゃくちゃ怖かったです(-_-;)
あれはいけない…自然って恐ろしい……。

お屋敷は存在したのか……記憶って結構頼りにならなかったりしますよね。
私も記憶違いしてることたまにあって。大人になってからの近い記憶でも怪しいです。……ボケが始まっているのかも(-_-;)

山道で裸足って絶対怪我しますよね。グランドの小石踏んだだけで痛いのに山道なんて危険物尖ったものいっぱい落ちてるだろうし。もう主人公判断能力が……(゚д゚lll)

私も横にいたら気絶させてでも連れて帰りますね……。(ん?
せめて日中に行きましょう!(作者

もうちょいでお話は終わる(はず)なのでもう少しお付き合いくださいませーm(_ _)m

夜の山中

夜中の山に歩いて入る。
……しかもひとりで。

私にはその経験はないですし、入りたくありませんけどね。
車でだって、同行者がいたってけっこう不気味ですよね。

以前に知人夫婦が四国のどこやらの山の中に車で入っていき、変なところに迷い込んで怖かったと言ってました。
それが徒歩だったら……ひとりだったら、こわーい。

ホラーは嫌いではありませんが、リアルに想像するとひたすらに怖いです。
この主人公……無事に? うそぉ。
鳥肌が……。

あかね様

子供の時夜の山に入ったことあるんですが、怖かったです…
入ってはいけないですよね…あーゆーとこは…。


夜の山道で迷子って相当怖そうです((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

友達のお母さんが山道でずっと変な人に付けられて洞窟みたいなとこに隠れやり過ごしたって言ってました。
山危ない…。

主人公はどうなるんでしょうね…。
どんどん最悪な方向に……いあいあ!続きお楽しみに!
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