(短編)姉妹

姉妹(3)

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明るい光が目を眩ませ、暖かい風が頰を撫でた。
部屋にはたくさんのぬいぐるみ、漫画にゲーム、お化粧品などがこぼれ出しそうなくらい詰め込まれていた。

ここであの子が生きていた。

レースのカーテンが太陽光を透かしながら、まるで呼吸しているかのように揺らめく。

突然子どもが後ろから「わー」と歓声をあげて部屋の中に飛び込んだ。
この子にとったら宝島のようなものだ。欲しいもの、興味あるものだけで埋め尽くされているのだから。

目を輝かせながら一つ一つ手にとっている。その下から思い出の遺品がちらりちらりと姿を現した。
友達からもらった手紙、おばあちゃんから届いた手編みのセーター、親からもらった時計。
懐かしい。思い出に浸りながらそれらを眺めていたが、ふと、気がついた。

おかしい

私があげた物がないわ。


何度見ても出てくる物は私以外の人間が彼女にあげたもの。

私だってあの子にプレゼントあげたのに。

子どもの隣に座り、一緒になって物を避けてみた。


ここにもない。こっちにも。あっちにだって。

どうして?

机の中かしら。クローゼットは? 物入れの中に隠してるの?

全ての引き出しを開け放ち、しまってあるものひとつ残らず裏まで調べた。絨毯の裏、服のポケット、ベットの間までもくまなく探した。

なんだっていい。どんな些細なものだっていいの。
プレゼントの包装紙でも、貸した消しゴムの欠片だってかまわない!

なのに。

どこにもそんなものはなかった。



気がつくと子どもが突っ立たまま呆然とこちらを見ていた。
いつしか風は止み、太陽も雲に隠れてしまっていた。

どれほどの時間、部屋を引っ掻き回していたのか。自分の回りに散らかった物で足の踏み場もない。こんな母親の姿、きっと怖かったでしょうに。

「ごめんね。お母さん探しものをしてたの」

そういって小さな頭を撫でてやった。

「探しもの?」

「うん。でもなかった」

子どもが腕の間からこちらを見上げる。甘えているような、それでいて拒絶しているような、そんな瞳の色をして。
この色、知っているわ。そう、あの子がよくしていた……。


私は妹を叩いたことがある。
悪くないのに怒鳴ったことも、わざと仲間はずれにして助けてあげなかったことも。
酷いことをいっぱいしてきた。
皆から大切にされて憎らしかったの。
彼女のせいで私はいつも我慢させられて愛されなかったと思ってた。

記憶の中の妹はいつもこちらを睨んでいた。私はあの子の笑顔を覚えていない。


涙が溢れかえってくる。
前が見えない。心臓が痛い。


「私は……それでも私は、自分なりに愛していたつもりだったの。精一杯の愛だったの。何も、何も、届いていなかった」


心臓が今までにないくらい大きな音でギシギシ、ギシギシと鳴る。

何がしたかったんだろう。愛していたことをあの子に分からせたかったのだろうか。そんなことしてなんになるというのだ。

痛みで断続的に呼吸が止まる。

既にそこに妹はいなかった。

私はただただ子どもを抱きしめながら泣き崩れた。

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~ Comment ~

お疲れ様です

更新お疲れ様でしたヽ(=´▽`=)ノ
こっちの心臓までギシギシ言い出しそうな話でした。
私は妹にいじめられる側ですが、愛情だと信じています。…信じたいです。
でもこれは大人になったからこそ愛に違いない!と信じれるんだろうなーと思いました。

弟は散々いじめてきた立場なので、ちょっと弟に優しくしようかと。
ぎしぎし。

お姉さんもきっと難しい人だったんですね。
妹を可愛いと思ってたんだろうとも思います。
子供さんには精一杯の愛情を注いでくれるといいなーと思いつつ感想を終わります!笑

また小説の更新楽しみにしています。それでは。

短編だったのですね

最初に読ませていただいた「フェアリーシンドローム」も、明るいストーリィではありませんでしたね。
最近はたおるさんの明るいイラストや漫画や、あの注射嫌いのお兄ちゃんの話などで、ちょっと印象がちがってきていたのですが、そうだそうだ、こういう話も書く方だったんですよね。

姉妹ってものすごーく複雑なのでしょうね。
平凡な人間同士の姉妹でも、子どものときから大人になっても、いろいろいろいろある。私は姉妹がいませんので、そのほうがよかったかなと思ったりしています。

まして、妹のほうに障害があって大切にされていると、姉はひねくれたくなって、だけど露骨にあらわすわけにもいかなくて、じれじれしたりして。

ああ、わかりますよ、主人公の気持ち。
そういうところがしっかり書かれていて、味わい深い作品でした。

NoTitle

とても悲しいラストでしたが、現実にはこういう感情のすれ違い、たくさんあるのでしょうね。
姉妹でも、まったく心が通わないという例、見たこともあります。
確執って、時間が経ったらうまるというわけでもなく・・・。
物語だから、きっとハッピーエンドだと思いがちなんだけど、そこを裏切るたおるさんの潔さを感じました。

NoTitle

うにゃー・・・こうなるとはっ!!
でも姉妹ってある意味一番近くて良くも悪くも一番のライバル的な存在だったりもしますよね。
うちの母親に前に言われたんですけど、子供って何歳になってもずっと親の愛情を測り続けるものなんだそうですよ。まあ、なんとなくちょっと言われてる意味は分からないではないのは、やっぱりそう自分が思っている所があるからかもしれませんね(^_^;)
ちなみにそういう母が結構頑張っておばあちゃんのお世話をしている姿を見ると「うーん。」と思ってしまう私はイケナイ子供です(笑)
この姉妹は姉妹としての絆がちゃんとあればこうはならなかったんでしょうけどね、それ以上にライバルとしての要素が出過ぎたんでしょうね(TдT)でもそれって本人だけが悪いというわけでもないとは思います。逆に妹は妹で病気で自分が優遇されていても同じ姉妹で生まれていながらずっと生き続けられるお姉さんへの嫉妬もあったのかな、とも思います。
後はただただお姉さんの子ども達のトラウマにならない事を祈るばかりです(^_^;)幼い頃に見た衝撃的な映像って結構ね・・・。(ΦωΦ)フフフ…

ではでは執筆お疲れ様でしたー!無駄なく、すっきり、ぐっさりとくる素晴らしい出来だと思います♬さすがなのですっ!!

  • #689 ぐりーんすぷらうと 
  • URL 
  • 2014.11/22 23:50 
  •  ▲EntryTop 

nicola様

そういえばnicolaさんも妹さんがいらっしゃった。
そうなんですよねえ…妹が亡くなったのは18ってのが問題でもあるんですよね…。

きっとnicolaさんの兄弟さんは愛情分かってくれてると思うので心臓はギシギシならなくて大丈夫ですよ!
この話、子どもに対する下りもはじめ書いてたんですが…私の悪い癖ですぐ終わらせたい病が発病しまして、ごっそり削ってしまいました。これから「私」にはなんとか子どもは子ども、一人の人格として愛して育ててほしいと思います。どうなることやら…。
コメントありがとうございました!

あかね様

小説は性格がバレちゃいますね(^_^;)
普段は明るい(?)ですが根暗なもんでこんな話も書きます(^_^;)

私も実は姉妹いないのですが(爆)こんな話書いちゃいました(爆)

兄弟、家族って近すぎるゆえに…って部分もありますよね…。
主人公の気持ち理解してもらえて嬉しいです! 
主人公には子どもに対する愛情が間違った方向にいかないことを祈るばかりです(>_<)
コメントありがとうございました!

lime様

すれ違いって哀しいですよね…。近すぎるゆえにズレてしまうこともあると思います。
一度出来た確執はなかなか埋めることが難しい……。実際はほんの些細なことで良かったりするんですけどね…。
このお話ははじめからこの終わり方って決めていたのですが、考えてみたら物語なんだしハッピーエンドにしてもよかったと今頃思いました(爆)

コメントありがとうございました!

ぐりーんすぷらうと様

おお、子どもはずと親の愛情を測り続けるんですね。言われてみれば私も今でもそのような……(

ぐりさんがこの姉妹の感情を代弁してくれている(TдT)ありがたやー。
妹は大人から愛情受けていると回りから見るとそう見えたかもしれませんが、本人からしたらそうじゃなかったかもしれないです。主人公の子どもに対する下り全部削除してしまったんですが、匂わす程度には書いておけば良かったかなと今頃思いました(-_-;)でももういいや!終わった話を書き直す元気はないぜ!(おい

久しぶりにひねり出して小説書いてみたんですが‥うーん自分では出来はよくないと思ってます(-_-;)まあ!リハビリということで!いつか納得できるお話書けるようにがんばります( ´∀`)bグッ!
コメントありがとうございました!

NoTitle

初めまして。さやかと申します。
私のところに足跡付けてくださりありがとうございます。
短編小説「姉妹」拝読しました。
妹の枷から抜け出して、恋人らしき相手も出来、やっと自分の生活がもてたのに、不慮の事故の知らせ。姉は、妹が憎らしくすら感じているのですね。
結婚して中年なってから子供を連れて久しぶりに実家に戻って、妹の部屋に自分があげた物がないのを知ってショックを受けた姉。
何をあげたのでしょうか。読み進みながらドキドキしてきました。
私自身は姉妹がいないのでわかりませんが、姉や妹というのは同じ女性同士として、お互いに相手が気になるものなのかもしれませんね。
心理描写が良く描かれているなと思いました。
たおるさんのブログ、リンクさせていただきますね。
私のところにもどうぞお遊びにおいでください。v-22

さやか様

コメントお返事遅くなってすいません!
はじめまして^^来てくださってありがとうございます♪

わ、わ、「姉妹」読んでくださったんですね。
私の中ではまだまだなお話になっているんですが、褒めて頂いてとても嬉しいです!
大分削ったのでお話が上手く伝わるかどうか心配でしたが…分かっていただけたようで安心しました。
私も女兄弟いないのですがこんなお話書いてみました(笑)うまく書けてたらいいな
最近小説をUPしていませんが、UP出来るようがんばっていきたいです。
リンクありがとうございます。またそちらにも伺いますね^^

NoTitle

久しぶりに伺ったら、こんな短編がUPされていたのね。
すっかり見逃しておりましたわー

それにしても、見事に救いがない話が出来上がりましたね!
こういうどうしようもない人間の葛藤、いいですね( ´∀`)bグッ!
むしろ彼女とお子さんの今後が気になってしまいました。

そして実はトラックに巻き込まれたのは姉のほうで、妹にドナー提供した姉の心臓が。。。。
なんてわけのわからんファンタジーも妄想してしまいましたわ。

それにしても一話の引き込み方は絶品でございました。
また次の作品を楽しみにしてまーすノ

草津輝夜様

おお!読んでくれたんですね。ありがとうございます!
こっそりUPしておりました(笑)
最近は暗いお話ばかり書いてます(^_^;)次来られるときは明るいお話し書けてたらなーと思います。

子どもとの件、やっぱり気になりますか。
はじめは書いてたんですが悪い癖ですぐ終わらせようとして大幅に削ったもので…子どもとのことについても削除されました☆
残しておくべきでしたね(^_^;)

心臓移植のお話も楽しそうですね!
その発想はなかったです、さすが草津様!

いいお話書けるよう今後も精進していきたいです( ´∀`)bグッ!

うぅむ

思ったよりもハードな展開だったなぁと、ちょっとびっくりしちゃいました。いえ、悪い意味ではなくて、物語を美化しようとするよりも、はるかに重くて考えさせられるなぁと。私ったら、妹はお姉さんからもらったものをどこかに大事にしまいこんでいるのかしら、なんて乙女な展開を想像していました^^;
私もまだまだ青いわ~

今日、テレビで『相棒』を見ていたら(再放送)、サヴァン症候群の弟の面倒を一人で一生懸命見ているお姉さんが、弟を山の中に置き去りにしてしまったというのをやっていて、ふと思い出してしましました。弟は遺体で発見されるのだけれど、置き去りにした残酷さも真実なら、弟の遺体を見て泣き叫ぶ姿もまた真実なんだろうな。うん。なんてのか、この複雑さが人生なのかしら。
こちらを拝読して、色々考えさせられました。
実は私も書きたいもののテーマの一つに「病児の兄弟」ってのがあって、わ、同じだわ~と勝手に喜んじゃってました。
また遊びに来ます~(*^_^*)

大海彩洋様

こちらも読んでくれたのですね。ありがとうございます!
暗い話しで申し訳ないです(-_-;)
小説なのだからハッピーエンドにすれば良かったと言われてから思いました(爆)

姉から見れば妹は愛され、大切にされていたかもしれませんが、妹から見た世界ではそれは愛ではなかったかもしれませんよね。
同じ一つの事象に対して使役者と受け手、また傍観者とでは捉え方に大なり小なりの差異が生じる点が書ければ良かったのですが、今読み返したら姉視点のみに絞ってるのでそこらへん全然書けてない\(^o^)/意味ない(笑)
あと、我が子に対する姉の思い、それを見ている子ども自身についてもはじめは書こうと思っていてたんですが……幾分長くなるし……重たい話しがダラダラ続くので自分で読み返えすのも嫌になってごっそり省きました(^_^;)
出来るだけ軽くさくさく進むようにしてみたんですが……なってるような、なってないような…
色々言い訳書いてますが、まぁ最終的にこういうお話になりました(笑)


「相棒」でそんなお話があったのですか。「相棒」シリーズ見てないのですがそのお話は見てみたかった(>_<)
人間の感情って複雑ですよね。もっと単純だったらいいのにと思うことがよくあります(´ε`;)ウーン…

病児の兄弟ってテーマですか! 同じこと考えてたんですねヽ(=´▽`=)ノなんか嬉しいです(*´ェ`*)
大海さんが書かれたらどんなお話になるのかなー?ぜひぜひ読んでみたいです((o(´∀`)o))ワクワク
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